眼球使用困難者向けに点字図書館や電子書籍、音訳ボランティアなどを活用した読書方法をご紹介します。
点字図書館
サピエ図書館というオンライン図書館がオススメです。サピエ図書館自隊は視覚障害者手帳の有無は問いませんが、サピエに登録するためには各地域の点字図書館に登録する必要があります。
ここで、点字図書館によっては手帳の有無が問われる場合があるので、手帳要件のない図書館に登録します。私自身の経験では登録は電話だけでもできました。
サピエに登録する場合は「視覚障害者」として登録します。なかには「手帳がない＝視覚障害者ではない」と解釈し、視覚障害者以外として登録される方がいらっしゃいますが、読書バリアフリー法における視覚障害者に手帳の種類や有無は関係ありません。ページめくり困難などでの読書困難者も登録可能なので、そのような方と視覚障害とを分けているだけです。
データの種類
サピエ図書館の所蔵データには以下のものがあります。
音声デイジー、テキストデイジー、マルチメディアデイジー、点字データ。
これらのうち、音声デイジーのみが音声データです。他はアプリ側の読み上げ機能を使って音声で聴くことができます。
再生アプリ・機器
●パソコン（Windowsのみ）
Amis 、LpPlayerというソフトがあり、音声デイジーを再生できます。
●スマホ・タブレット
ボイスオブデイジー（Android,iOS/音声デイジーのみ）3,180円
ボイスオブデイジー５（iOSのみ/音声デイジー、テキストデイジー、マルテチメディアデイジー）3,180円
Braille Talk（iOS/点字データ）無料版もありますが機能が制限されています。有料版は9千円以上だったような。
図書館の代読サービス
こちらは視覚障害者としての手帳要件がある場合が多いですが、日本点字図書館なら都内在住・在勤なら手帳なしで利用できるほか、登録にも手帳の有無は問われません。
Kindle電子書籍他電子書籍リーダー
雑誌のように固定レイアウトでなければ大方デバイス側の読み上げに対応します。iOS、iPad OSのVoiceOverでの動作確認済み。また、背景色、文字の大きさも変えられるので視覚障害者全般にありがたい仕様。
また、Kindle専用端末やソニーのReaderなどの電子書籍端末はE-inkというバックライトを使わない仕様であり、目に優しいですが、部屋が明るくなければ見ることができません。
もしも、部屋を暗くした上で端末の輝度を抑えて見る場合はデバイスの輝度を抑える裏技を紹介していますので、そちらをご覧ください。
出版社にテキストデータ提供をお願いする
紙の本を購入した場合、最初にやるべきことはテキストデータ提供のお願いです。電話だと即断られる確率が高いのでメールでお願いするのが良いです。その際、こちらが視覚障害のため、画面読み上げ機能で読書していること、読書バリアフリー法のリンクを貼り付けます。
また、「テキストデータは無理」と言われても、書籍データは印刷会社入稿データであるInDsignというソフトのデータで補完されていることが大半のため、そのPDFをくださいとお願いすれば対応してくださることが多いです。
このPDFならiOSやiPad OSのBookで読み上げることができます。
これでも不十分な場合はボランティアさんに修正をお願いしましょう。グラフの解説、本文の途中に挿入された文を音声で理解しやすいように区切りの良いところに移動してくださったりします。
音訳・点訳・テキストデータ化ボランティア
ボランティアのため、手帳要件なくお願いすることができます。出版社からのテキストデータ提供が叶わなかった場合もテキストデータ化をお願いすることが可能です。
画像PDFのOCR
リアル小冊子、画像PDFなら自分でOCR（テキストデータに変換）することができます。
Canonの複合機ならデフォルトでPDFはOCR対応であり、読取革命というOCRソフトがついています。ただし、スキャニングソフトの画面読み上げ対応は不十分な可能性あり（Macは大方対応します。NVDAは不十分だった記憶…）。ご購入の際はお確かめください。
また、ネット上に上げられている画像PDFはライカツというサイトの【超便利】画像やPDFの文章をテキスト化（文字起こし）できるアプリ・サイト16選に詳しく紹介されています。
ライカツさんでご紹介されているのはもっぱら一般向け情報ですが、視覚障害者向けアプリに特化してOCRのみならず、歩行ナビや日常の各シーンで便利に視覚障害者が使えるアプリを全盲のLUCAさんが自身が運営するサイト Luxcess Tech(ラクセステック)で紹介してくださっています。
「視覚障害者用補助系アプリをまとめてみました!」